“玄制流祝嶺の抜塞
“祝嶺の抜塞”の特徴は、進退いずれの場合にも、必ずいったん猫足立ちになり、そこから半身後屈立ちへと変化していることである。これは相手の動きがどう変化しても、その動きに対し、瞬時に猫足から前蹴りが使える。または膝を上げて相手の蹴りを防ぎ、さらにその足を蹴りに変化させて、返し技とするのだ。
常に相手との間合いを測り、動きの中で攻防の変化が自由であることを表現している。
もう一つの特徴は、すべて貫手構えであり、常に前手は指先を相手の目に向け構え、貫手による攻撃と掌底の防御が表裏一体となっている。(第三章参照)
型の中で左右の相手に対し、前蹴りと同時に使う貫手があるが、これは突き刺すのではなく、相手の目を横から振り切るように使うところに特徴がある。突く・刺すという攻撃は、相手は顔を左右何れかに避けることでかわすことができる。横に切る使い方は、避けようとする顔を追う形で貫手を使うところに、より現実的な効果が得られる。


※祝嶺の抜塞は従来、抜塞(大)と称していたが、土佐邦彦氏が
「玄制流空手道教範2」を刊行するに当たり、祝嶺正献氏の承認を得て、創始者の名を冠して型の名前とした。これはまた全空連指定形と区別する意味もある。

◎型

左貫手構えより、左貫手を前に伸ばしながら、縦方向に回転させ、右拳を水月前に引く(A,B)。
右足底で左開掌をやや斜め上から払い落とす。さらに踏み込んで騎馬立ちになると同時に左開掌部へ右回し肘当て(C,D)。
立ち方はそのままに、右開掌部の手刀部を腰に、左開掌の甲を内側にして額の上に持ってくる(E〜G)。
















◎分解

相手の構えた手を右足底でかけ落とす(’A〜’C)。そのまま踏み込んで後頭部に右回し肘宛てを打ち込む(’D)。さらに右手刀打ちで右後ろへかけ倒す。そして左中段突きでとどめをさす(’E〜’G−2)。